
基準日:2026年9月1日
EVの「電費」は、電気1kWhでどれだけ走れるか、または1km走るのに何Wh使うかを表す指標です。単位と計測位置を揃えれば、車種比較だけでなく、毎月の充電費や必要な充電電力量も検算できます。
km/kWhとWh/kmの違い
km/kWhは、1kWhで走れる距離です。数値が大きいほど、同じ電力量で長く走れます。
km/kWh=走行距離(km)÷消費電力量(kWh)
Wh/kmは、1km走るための電力量です。数値が小さいほど、少ない電力で走れます。
Wh/km=消費電力量(Wh)÷走行距離(km)
相互変換は次の式です。
Wh/km=1000÷(km/kWh)
km/kWh=1000÷(Wh/km)
たとえば6km/kWhは約166.7Wh/kmです。丸める桁を決め、比較する全車種で同じ桁数に揃えます。
電費は「どこで測った電力量か」を確認する
同じkm/kWhでも、分母の電力量が異なると意味が変わります。
• 車両・バッテリー側:走行に使った電力量を車載表示などから確認
• コンセント・充電器側:系統や充電器から受け取った電力量を計測
コンセント側の値には、充電器や車載充電器などの損失が含まれます。電気代を計算するなら、購入電力量に近いコンセント側の実績を使うと分かりやすくなります。車両側の電費を使う場合は、必要に応じて充電効率を別に反映します。
カタログ電費と実電費は役割が違う
カタログ値は、定められた試験条件で車種を比較するための値です。実際の電費は、気象、渋滞、速度、急加速、エアコン、タイヤ空気圧、積載、勾配、バッテリー状態などで変わります。カタログ値をそのまま年間の充電費へ使うのではなく、初期比較に使い、導入後は実績で更新します。
実電費を測る手順
1. 走行前後のバッテリー残量条件をできるだけ揃える
2. 短い1走行だけでなく、複数日・複数回の走行距離を合計する
3. 充電器、電力量計、アプリなどで充電電力量を記録する
4. 合計走行距離÷合計充電電力量でコンセント側実電費を求める
5. 外気温、空調、平均速度、道路条件、積載、タイヤ、充電種別をメモする
充電残量の表示には丸めがあるため、1回ごとの小さな差より、一定期間の合計で計算する方が誤差を抑えやすくなります。
電費が変わる主な要因
• 暖房・冷房・デフロスターの使用
• 外気温とバッテリー温度
• 高速走行、急加速、頻繁な速度変化
• 登坂、向かい風、雨雪、路面状態
• 乗員・荷物、ルーフキャリア
• タイヤ種類、空気圧、整備状態
• 回生ブレーキを活用できる走行条件
季節差が大きい利用では、年間平均1ケースだけでなく、春秋、夏、冬の少なくとも3ケースで比較します。
充電費へ変換する
コンセント側実電費を使う場合:
必要購入電力量(kWh)=走行距離(km)÷コンセント側実電費(km/kWh)
充電費(円)=必要購入電力量(kWh)×追加1kWhあたり実効単価(円/kWh)
車両側実電費を使う場合:
必要購入電力量(kWh)=走行距離÷車両側実電費÷充電効率
どちらの電費を使ったかを明記し、充電損失を二重に入れないことが重要です。
燃費と比べるときは円/kmへ揃える
EVの充電費(円/km)=電気の実効単価(円/kWh)÷コンセント側実電費(km/kWh)
ガソリン車の燃料費(円/km)=ガソリン単価(円/L)÷実燃費(km/L)
公開されている単価やカタログ値だけでなく、同じ走行距離・季節・道路条件の実績を使うと、比較の説明責任を高められます。
PHEVではEV走行とエンジン走行を分ける
PHEVは、電気だけで走った区間と、エンジンを使った区間を分けます。月間走行距離全体をEV電費だけで割ると、充電電力量を過大評価する場合があります。
月間エネルギー費=EV走行分の充電費+エンジン走行分の燃料費
顧客条件で電費・充電費を比較する
エネがえるEV・V2Hでは、車両、月間走行距離、電気料金、太陽光、蓄電池、V2Hなどを顧客ごとに設定し、複数条件を比較できます。カタログ値だけでなく、実績や季節別の感度を入力して確認してください。
参考資料
• e-Mobility Power:急速充電・普通充電の違い